レポート解説
ウェビナーは、AI検索、GEO、より精緻な広告ターゲティングがCyberAgentに有意な長期機会をもたらすとのGoldman Sachsの見方を補強した。新たなAI検索領域の収益化はなお初期段階にあるため、株式評価はNeutralを維持している。
要約
Goldman Sachsは、生成AI検索がCyberAgentの従来型検索広告機会を縮小ではなく拡大させるとみている。
ウェビナーは、AI検索、GEO、より精緻な広告ターゲティングがCyberAgentに有意な長期機会をもたらすとのGoldman Sachsの見方を補強した。新たなAI検索領域の収益化はなお初期段階にあるため、株式評価はNeutralを維持している。
- CyberAgentの調査によると、2026年8月に日本で生成AIを検索に利用するユーザー比率は50%を超えた。
- CyberAgentは、対話型AIと従来型検索が並行して使われていると説明しており、Google検索クエリは最近過去最高に達した。
- 同社はAI Search Marketing Divisionを立ち上げ、FY9/27までに人員を約150人から250人へ拡大する計画である。
- Goldman Sachsの¥1,580目標株価はFY9/27のSOTP評価に基づく。
レポート解説
概要
本ウェビナーに基づくレポートは、生成AIとAI検索が日本の消費者マーケティングおよびオンライン広告をどう変えるかを検討し、CyberAgentを主要な株式対象としている。Goldman Sachsは、議論がCyberAgentの検索広告機会に対するより前向きな長期見通しを支持するとみる一方、AI検索とGEO領域の実質的な利益寄与にはなお時間を要するため、Neutral評価を維持している。
主要見解
Goldman Sachsは9月17日、CyberAgentのインターネット広告部門とistyleのAI Innovation Strategy Officeを招いたウェビナーを開催し、生成AIが消費者接点と広告業界をどう変えているかを検討した。同社は、AI技術の進展がインターネット広告業界に大きな利益機会をもたらし、企業規模にかかわらずAI活用力がマーケティング成果を左右する可能性があると結論づけた。重要な結論は、生成AIが従来型検索広告を縮小させる必要はないという点である。パネリストは、対話型AIと従来型検索が並行利用されて検索全体が増加しており、AIは検索広告配信の精度も高め得ると述べた。 ウェビナーでの議論によると、CyberAgentの競争力はAI技術力、データ規模、メディアとの関係にある。同社は約10年前からAIに投資し、インターネット広告市場の90%を占めると同社がいうパフォーマンス型広告の全工程で独自AIを活用している。これにより、大量の1対1広告クリエイティブとランディングページを制作できる。CyberAgentは2025年7月にGEO Labを開始し、ChatGPT広告が2026年6月に日本で公開された際には公式ローンチパートナーとなり、2026年6月にはAI Search Marketing Divisionを設立した。この部門は検索広告、生成エンジン最適化(GEO)、生成AI検索を対象に、戦略から運用までを担う。人員はFY9/27までに約150人から250人へ増やす計画である。 レポートは消費者行動の変化を説明している。CyberAgentの調査では、日本における生成AI検索の利用率は2026年8月に50%を超え、当初は10代・20代が牽引したが、40代でも過半に達した。消費者は自ら検索・比較する代わりに、AIに相談して意思決定する傾向を強めている。一方、化粧品のように実際に試す必要が残るカテゴリーでは、AIによる情報収集の後に顧客サービスの必要性が高まる可能性がある。パネルの中核的な見方は、利用者はなお実際のウェブサイトを訪問して確認しており、Google検索クエリは対話型AIに置き換えられるのではなく、最近過去最高に達したというものだ。 広告主にとって、レポートは従来の検索広告・SEOを超える手段の拡大を指摘する。GEOはAIにブランドを言及・推奨させることを目的とし、AI検索とChatGPT広告は消費者へ到達する新たな方法となる。GEOは、まだ特定の商品意図を持たない潜在顧客へのアプローチに特に有用となり得る。従来型検索広告でも、AIが検索意図をより正確に把握することで、同じキーワードに異なる広告を表示でき、1対1のクリエイティブ制作と配信設計への需要が増える。ROIは引き続き中心的な判断基準だが、両社は効果検証がまだ初期段階にあるとした。AIとの対話やGEOと売上の相関は検証中であり、istyleの購入前後データの組み合わせは因果関係の把握を難しくし得る。 レポートは消費財セクターへの含意も示した。大手ブランドは、豊富な信頼できる過去情報とより大きな広告予算を有するため、AIに推奨されやすい可能性がある。しかし中小ブランドも、消費者ニーズに対応した詳細で特徴的なコンテンツを提供すれば競争できる。AIの推奨では、独自の価値や実体験に基づく情報が重視される可能性がある。企業の対応速度は企業ごとに大きく異なるが、パネリストは、経営トップやマーケティング責任者の危機感と、整備され容易に利用できるブランドデータが導入の重要な契機になると指摘した。 CyberAgentについて、同社はAI検索広告とGEOを20年に一度の変化と位置づけている。広告支出全体はGDPに連動するものの、生成AI検索を背景に総広告費に占めるインターネット広告の比率は上昇すると同社は考える。文脈を理解するChatGPT広告は高い広告効果を実現し得るとみており、従来型検索広告にも収益化の余地がある。現時点では検索時に広告が表示される比率は約20%であり、AIによる広告精度の向上に伴い上昇し得るという。新部門は、従来の代理店コミッションに企画コンサルティング料を加え、多層的な収益モデルを追求する狙いである。 Goldman Sachsは、AI検索とGEOの収益化は初期段階であり、実質的な利益寄与には時間がかかる可能性を認めている。それでも、CyberAgentの技術力と専門部門の迅速な立ち上げは構造変化への適切な対応だと評価する。対話型AIとの並行利用による検索行動の拡大と、AIによる精度向上の余地は、従来型検索広告市場の縮小に対する投資家の懸念を和らげ得るとみている。投資家はオンライン広告市場の中期見通しを引き続き見極めると考え、Neutralを維持する一方、検索広告はCyberAgentのインターネット広告事業売上高の約3分の1を占め、この領域で示された見通しには前向きである。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは、CyberAgentとistyleによるウェビナーでのコメントを用い、消費者の検索行動の変化を広告主需要、広告配信の仕組み、CyberAgentの事業対応へと結びつけている。その後、CyberAgentの利益機会への含意を評価し、FY9/27を評価基準年とする分部合計方式で同社を評価している。
手法メモ
消費者検索と広告主マーケティングの伝達分析
レポートは、AI支援型の消費者検索がブランドデータの要件、クリエイティブ制作、広告需要をどう変えるかをたどり、それらをCyberAgentの代理店・コンサルティング収入機会に結びつけている。
分部合計評価法
Goldman Sachsは、CyberAgentの¥1,580の12カ月目標株価がFY9/27を評価基準年とするSOTPに基づくと明記している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- CyberAgent (4751.T)AIを活用した検索広告、GEO、AIマーケティングサービスから恩恵を受け得る主要カバレッジ企業。
- 強み
- 長期にわたるAI投資、データ規模、メディアとの関係、1対1のクリエイティブ能力、専門AI Search Marketing Divisionの早期立ち上げ。
- 弱み
- AI検索とGEOからの実質的な利益寄与にはなお時間を要すると見込まれる。
- 比較
- レポートは大手ブランドと小規模ブランドの双方がAIマーケティングを活用できると指摘しており、CyberAgentの位置づけは広告能力を通じて評価され、広告代理店同業との直接比較ではない。
- リスク
- ゲーム新作の成績、ABEMAおよびIP事業の利益動向、インターネット広告のシェア拡大、DX事業の利益寄与時期が予想と異なる可能性がある。
主要データ
- 日本における生成AI検索の利用率Exceeded 50%2026年8月のCyberAgent調査結果。
- CyberAgentのAI Search Marketing Divisionの人員数c.150 to 250FY9/27までの拡大計画。
- インターネット広告市場に占めるパフォーマンス型広告の比率90%CyberAgentは、独自AIを展開する市場領域としている。
- 検索時に広告が表示される比率c.20%CyberAgentは、AIによる広告精度向上に伴い上昇余地があるとみている。
- CyberAgentのインターネット広告事業売上高に占める検索広告の比率c.1/3Goldman Sachsは、このセグメントが同社の広告見通しの中核であると指摘している。
- 目標株価¥1,580FY9/27のSOTP評価に基づく12カ月目標株価。
影響と示唆
Goldman Sachsは、生成AIが意図マッチングの改善、クリエイティブ需要の増加、GEOおよびAI検索サービスの追加を通じて、オンライン広告代理店の機会を拡大し得るとみている。CyberAgentにとっては、検索広告の成長と追加的なコンサルティング料の可能性があるが、新たなAI検索収益源はまだ未成熟であり、中期の市場見通しは引き続き投資家の評価を要する。
リスク
- ゲーム事業の利益は、新作の成績および既存主要タイトルの勢いにより、予想を上回るまたは下回る可能性がある。
- メディア・IPセグメントの利益は、ABEMAの改善ペースとアニメ制作などIP事業の動向により変動し得る。
- インターネット広告のシェア拡大が予想と異なる可能性がある。
- DX事業の実質的な利益寄与の時期が予想より早まる、または遅れる可能性がある。
注目点
- AI検索広告とGEOが実質的な利益寄与を生むペース。
- CyberAgentがAI Search Marketing Divisionを約150人から250人へ拡大する進捗。
- AIによる広告精度向上が、広告を表示する検索の比率を現在の約20%から引き上げるか。
- AIとの対話またはGEO活動と売上・広告ROIを結びつける証拠。
- 日本のオンライン広告市場の中期見通しとCyberAgentのシェア拡大。