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レポート解説Hilo Research

複数業種/アセットアロケーション:日本株指数は人工知能および銀行セクターへの依存度が高く、持ち合い解消はFY25に加速を続けた

Goldman Sachsは、2025年9月から2026年6月末にかけて、人工知能関連株および銀行株と日本市場のその他の部分とのパフォーマンス格差が大幅に拡大し、両テーマにエクスポージャーを持たない投資家にとってTOPIXまたは日経平均225に追随することが困難になったとみている。一方、日本における持ち合い解消は堅調に継続し、安定株主比率はFY25に33%へ低下した。

機関Goldman Sachs Japan Co.,Ltd.
日付20260821
企業日本株式市場(TOPIXおよび日経平均225)
ティッカーTOPIX, NK225
業界複数業種/アセットアロケーション

要約

Goldman Sachsは、2025年9月から2026年6月末にかけて、人工知能関連株および銀行株と日本市場のその他の部分とのパフォーマンス格差が大幅に拡大し、両テーマにエクスポージャーを持たない投資家にとってTOPIXまたは日経平均225に追随することが困難になったとみている。一方、日本における持ち合い解消は堅調に継続し、安定株主比率はFY25に33%へ低下した。

総合レーティングはなし。TOPIXの3カ月後/6カ月後/12カ月後の目標は4,200/4,300/4,500ポイント。
日本株TOPIX日経平均225人工知能テーマ銀行株持ち合い解消資金フローセクター配分
  • TOPIXは4,067.29ポイントで取引を終え、週間で3.1%下落した。日経平均225は66,016.36ポイントで取引を終え、週間で3.9%下落した。
  • 人工知能関連株および銀行株と市場のその他の部分との相対パフォーマンス格差は、2025年9月から大幅に拡大し、2026年6月末まで持続した。
  • 市場が2つの主要テーマに集中していることは、急激なモメンタム反転に対する脆弱性を高める可能性がある。
  • 持ち合い株式の売却はFY25にも加速を続け、安定株主比率を33%まで低下させた。
  • 広義の持ち合い株式は、2026年8月19日時点で日本市場の時価総額全体の8.4%を占めた。
  • TOPIXの3カ月後、6カ月後、12カ月後の目標は、それぞれ4,200、4,300、4,500ポイントである。

レポート解説

概要

本レポートは主に2つのテーマに焦点を当てている。第1に、人工知能関連株および銀行株がTOPIXと日経平均225のパフォーマンスに寄与した度合いと、テーマ集中によるモメンタム反転リスクである。第2に、日本企業における持ち合い解消がFY25にも継続的に加速したことである。レポートはまた、持ち合い保有企業および投資先企業のスクリーニングを更新し、市場の資金フロー、指数目標、為替レート前提、セクター配分に関する追加的な見解を示している。

主要見解

レポートはまず、2024年1月以降のTOPIXおよび日経平均225のパフォーマンスを分解している。人工知能関連株および銀行株は、2024年初から2025年半ばまでは概ね各指数に連動して推移したが、2025年9月以降、これら2グループと市場のその他の部分とのパフォーマンス格差は大幅に拡大し、2026年6月末まで持続した。このためGoldman Sachsは、人工知能および銀行テーマへの十分なエクスポージャーを持たない投資家は、この期間にTOPIXまたは日経平均225に追随することが困難だったとみている。同時に、市場パフォーマンスが少数のテーマに集中していることは、より脆弱な構造も示唆する。主導セクターのモメンタムが急反転した場合、指数および関連ポジションはより顕著な影響を受ける可能性がある。レポート対象週では、TOPIXは4,067.29ポイントで3.1%下落し、日経平均225は66,016.36ポイントで3.9%下落した。上昇上位業種は海運業および鉱業で、下落上位業種は電気機器およびガラス・土石製品だった。 第2の主要テーマは持ち合い解消である。レポートは、持ち合い株式の売却がFY25にも加速を続け、さらなる解消を経て日本の「安定株主」の保有比率が33%まで低下したと指摘している。2026年8月19日時点で、広義の持ち合い株式はなお日本株式市場の時価総額全体の8.4%を占めており、解消トレンドは強いものの、残存保有分が引き続き市場にとって重要であることを示している。また、持ち合いスクリーニング・ポートフォリオは2026年3月までTOPIXをアウトパフォームし続けたと指摘しており、関連企業が明確な相対パフォーマンスのパターンを示していたことを示唆するが、その後の継続は保証していない。 Goldman Sachsは、最新の年次開示に基づき2組のスクリーニングを更新した。保有企業スクリーニングには、時価総額が1,000億円超、政策保有株式が純資産の15%超、かつ直近会計年度における政策保有銘柄数の削減が10%超である51社が含まれる。このスクリーニングは、比較的重い持ち合い負担を抱えながらも、その保有を継続的に削減している企業を特定することを目的としている。投資先企業スクリーニングは、時価総額2,000億円超の企業の中から、政策保有株主による保有比率が最も高い50社を選定し、持ち合い解消の影響を受ける可能性のある主要銘柄をモニターする手段を提供する。Goldman Sachsは、これらのスクリーニングが年次有価証券報告書に基づくものであり、最新の変化を反映していない可能性があることも警告している。投資先データは、おおむね2025年5月から2026年6月に対応する会計年度を対象としており、その後の取引は含まれないため、関連リストにはタイムラグがある。 資金フローについては、東京証券取引所のデータによると、2026年8月10日~14日に海外投資家は東証プライム現物株で2,100億円の買い越し、国内機関投資家は750億円の買い越し、個人投資家は6,380億円の売り越しとなった。これらのデータは、機関投資家の純流入と個人投資家の大幅な流出との乖離を示し、最近の市場ポジショニングおよび取引行動に関するレポートの観察を補完している。 市場見通しについて、Goldman SachsはTOPIXの3カ月後、6カ月後、12カ月後の目標を、それぞれ4,200、4,300、4,500ポイントと設定している。FY26、FY27、FY28のUSD/JPY前提はそれぞれ162、160、155であり、この為替レート・パスはトップダウンの利益予想およびセクター見解と併用されている。セクター配分では、機械、IT・サービス、銀行、電気機器・精密機器、鉄鋼・非鉄金属をオーバーウェイトとしている。アンダーウェイトの分野には、電力・ガス、食品、医薬品、運輸・物流が含まれる。 レポートの市場モニタリング枠組みは、バリュエーション、利益予想改定、資金フロー、スタイル、セクターパフォーマンスを対象としている。流動性の高い銘柄ユニバースは、6カ月平均日次売買代金が2,000万米ドルを超える日本株と定義され、2025年12月17日時点で271銘柄で構成され、毎年更新される予定である。Goldman Sachsはこのユニバースを、45の等ウェイト業種、サブ業種、またはクロス業種テーマ指数に分けている。構成銘柄はMSCI業種分類、定量指標、Goldman Sachs株式アナリストの見解に基づいて選定され、同一銘柄が複数の指数に含まれる場合がある。レポートはこれらの指数のパフォーマンス、および各指数内の最良・最悪パフォーマンス構成銘柄間のリターン格差を継続的に追跡し、上場後初期のボラティリティが指数比較に及ぼす影響を抑えるため、IPO後最初の12カ月間の取引パフォーマンスを除外している。

分析フレームワーク

レポートはまず、TOPIXおよび日経平均225を人工知能および銀行テーマの構成銘柄と市場の残余部分に分け、2024年1月以降の指数化パフォーマンスを比較することで、相対パフォーマンス格差が拡大した期間と集中ポジショニングのリスクを特定する。次に、最新の年次有価証券開示を用いて、安定株主比率、持ち合い株式売却のペース、広義の持ち合い株式の時価総額に占める割合を測定するとともに、時価総額、純資産に対する政策保有株式の割合、保有銘柄数の削減度合いに基づき、保有企業および投資先企業のリストを更新する。最後に、東証の投資家売買データ、トップダウンの利益予想、為替レート前提、セクター推奨、ならびに等ウェイト業種・テーマ指数のパフォーマンス、バリュエーション、利益予想改定、最良・最悪リターン格差を組み合わせ、市場モニタリング枠組みを構築している。

手法メモ

  • 定量/ファクター/ポートフォリオ理論スタイルファクター分析

    日本市場における相対的なスタイルおよびテーマのパフォーマンス分析

    レポートは、バリュー対グロース、大型株対中型株、景気循環株対ディフェンシブ株といったスタイルを比較するとともに、人工知能および銀行テーマのパフォーマンスをTOPIXおよび日経平均225の残余構成銘柄から分離し、市場リターンが少数のスタイルまたはテーマに集中しているかを判断している。

  • 定量/ファクター/ポートフォリオ理論その他

    等ウェイトの業種、サブ業種、テーマ指数

    Goldman Sachsは、6カ月平均日次売買代金が2,000万米ドルを超える日本株から45の等ウェイト指数を構築し、各指数の構成銘柄に等しいウェイトを配分して、異なるセクターおよびテーマのパフォーマンスを比較している。同一銘柄が複数の指数に含まれる場合がある。

  • イベントドリブン戦略および行動ファイナンス資金フロー/ポジショニング分析

    投資家タイプ別の東証純売買統計

    レポートは、海外投資家、国内機関投資家、個人投資家による純買い・純売りをそれぞれ検証し、日本株における投資家グループ別の最近のポジショニングおよび資金フローの方向性を把握している。

  • 定量/ファクター/ポートフォリオ理論その他

    双方向の持ち合いスクリーニング

    保有企業スクリーニングは、時価総額、純資産に対する政策保有株式の割合、保有銘柄数の削減を組み合わせ、持ち合い保有が大きく、それを継続的に解消している企業を特定する。投資先企業スクリーニングは、政策保有株主による保有比率に基づき、持ち合い保有が集中する銘柄を特定する。

  • 定量/ファクター/ポートフォリオ理論その他

    最良・最悪構成銘柄のリターン格差

    この指標は各指数内の最良パフォーマンス構成銘柄と最悪パフォーマンス構成銘柄のリターン差であり、セクター内のパフォーマンス分散を観察するために使用される。レポートは等ウェイト平均パフォーマンスとこのリターン格差の両方を追跡している。

  • 定量/ファクター/ポートフォリオ理論その他

    利益予想改定指数

    レポートは、過去1カ月のアナリスト予想引き下げ件数を引き上げ件数から差し引き、その結果を予想総数で割ることで、TOPIXおよび関連市場における利益期待改定の純方向を測定している。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • TOPIX
    レポートはTOPIXを日本の大型株ベンチマークとして用い、人工知能および銀行テーマの指数パフォーマンスへの寄与を分析し、3カ月後、6カ月後、12カ月後の目標を提示している。
    強み
    3カ月後、6カ月後、12カ月後の目標は順に4,200、4,300、4,500ポイントへ上昇する。
    弱み
    2025年9月から2026年6月末にかけてのパフォーマンスは、相当程度、人工知能関連株および銀行株に集中していた。
    比較
    人工知能および銀行の構成銘柄は、2025年9月以降TOPIXの残余部分を大幅にアウトパフォームした。持ち合いスクリーニング・ポートフォリオのTOPIX対比アウトパフォーマンスは2026年3月まで継続した。
    リスク
    2つの主要テーマへのポジション集中は、指数を急激なモメンタム反転に対してより脆弱にする可能性がある。
  • 日経平均225(NK225)
    レポートは同様に日経平均225を人工知能および銀行の構成銘柄と残余構成銘柄に分け、テーマ集中が指数パフォーマンスに与える影響を特定している。
    強み
    人工知能関連株および銀行株は、2025年9月から2026年6月末にかけて指数パフォーマンスに追随するための重要な源泉だった。
    弱み
    指数パフォーマンスは少数のテーマに大きく依存しており、これら2グループの株式への十分なエクスポージャーを持たない投資家にとって指数に追随することを困難にしている。
    比較
    人工知能および銀行テーマの相対パフォーマンス格差は、2025年9月以降、TOPIXと日経平均225の両方で大幅に拡大した。
    リスク
    主導テーマが急激なモメンタム反転を経験した場合、集中構造が市場の脆弱性を増幅する可能性がある。

主要データ

  • TOPIX週間パフォーマンス4,067.29ポイント、-3.1%レポートの週間市場サマリー
  • 日経平均225週間パフォーマンス66,016.36ポイント、-3.9%レポートではNK225として表示
  • 安定株主比率33%FY25のさらなる持ち合い解消後、この水準まで低下
  • 時価総額に占める広義の持ち合い株式の割合8.4%2026年8月19日時点、日本市場の時価総額全体に占める割合
  • 保有企業スクリーニング銘柄数51銘柄時価総額1,000億円超、政策保有株式が純資産の15%超、かつ直近会計年度の保有銘柄数削減が10%超
  • 投資先企業スクリーニング銘柄数50銘柄時価総額2,000億円超の企業のうち、政策保有株主による保有比率で順位付け
  • 海外投資家の純売買2,100億円の買い越し2026年8月10日~14日、東証プライム現物株
  • 国内機関投資家の純売買750億円の買い越し2026年8月10日~14日、東証プライム現物株
  • 個人投資家の純売買6,380億円の売り越し2026年8月10日~14日、東証プライム現物株
  • TOPIX目標3カ月後4,200ポイント、6カ月後4,300ポイント、12カ月後4,500ポイントGoldman Sachsの指数目標パス
  • USD/JPY前提FY26/FY27/FY28: 162/160/155Goldman Sachsのトップダウン利益予想で用いる為替レート前提
  • 流動性の高い銘柄ユニバース271銘柄2025年12月17日時点、6カ月平均日次売買代金が2,000万米ドル超
  • 等ウェイト・モニタリング指数45業種、サブ業種、クロス業種テーマを対象とし、銘柄は複数の指数に含まれる場合がある

影響と示唆

レポートは、日本の主要株価指数の過去の上昇が人工知能および銀行テーマに大きく集中していたとみている。これは、これらのテーマへのエクスポージャーを持たない投資家が指数に追随することが困難だった理由を説明する一方、市場をモメンタム反転に対してより脆弱にする。持ち合い株式の売却加速と安定株主比率の低下は、企業の株主構造が引き続き変動していることを示しており、保有企業と投資先企業の双方が資産売却および株主構造調整の影響を受け続ける可能性がある。ただし、スクリーニングは年次開示に依拠しているため、解釈に際してはデータのタイムラグを考慮する必要がある。TOPIXの目標パスは、指数の中期的な方向性に関するGoldman Sachsの前向きな見方を反映し、セクター配分は機械、IT・サービス、銀行、および一部の製造業を選好している。

リスク

  • 日本株の主導的なパフォーマンスは人工知能および銀行テーマに集中しており、市場が急激なモメンタム反転に対して特に脆弱になる可能性がある。
  • 持ち合いスクリーニングは年次有価証券報告書に基づいており、最新の変化を反映していない可能性がある。おおむね2025年5月から2026年6月に対応する会計年度後に発生した取引は、まだ組み込まれていない。

注目点

  • 人工知能関連株および銀行株と日本市場のその他の部分とのパフォーマンス格差が、拡大を続けるか、またはモメンタム反転を経験するかを注視する。
  • 持ち合い株式売却のペース、安定株主比率、および時価総額に占める広義の持ち合い株式の割合における、その後の変化を注視する。
  • 東証プライム市場における海外投資家、国内機関投資家、個人投資家の純売買の方向性を注視する。
  • TOPIXの4,200、4,300、4,500ポイントという3段階の目標に向けた進捗と、FY26~FY28のUSD/JPY前提162/160/155の変化を注視する。

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