Daiichi Sankyo(4568) レポート解説
EnhertuとLixianaの好調により、第1四半期の売上高と営業利益はGoldman Sachs予想を上回った。同社は修正後FY3/27ガイダンスが基礎的にはおおむね予想通りとみて、¥4,250の目標株価でBuyを維持している。
要約
EnhertuとLixianaの好調により、第1四半期の売上高と営業利益はGoldman Sachs予想を上回った。同社は修正後FY3/27ガイダンスが基礎的にはおおむね予想通りとみて、¥4,250の目標株価でBuyを維持している。
- 第1四半期売上高は¥574.7bnでGoldman Sachs予想は¥517.7bn、営業利益は¥85.1bnでGoldman Sachs予想は¥79.6bn。
- FY3/27売上高ガイダンスは¥2,340.0bn、営業利益ガイダンスは¥320.0bnへ引き上げ。
- Goldman SachsはFY3/27-FY3/31営業利益予想を1-5%引き下げ、目標株価を¥4,300から¥4,250へ引き下げた。
- 主なカタリストは、Datroway肺がん試験の今後の結果と、より広範なADCフランチャイズの進展。
レポート解説
概要
Goldman Sachsは、主力製品の売上が好調で自社予想を上回った第一三共のFY3/27第1四半期決算をレビューしている。修正後の営業利益ガイダンスはGoldman Sachsの従来予想およびコンセンサスを下回るが、在庫損失と戦略投資の増加を考慮すれば基礎的には予想とおおむね整合すると判断し、Buyを維持している。
主要見解
第一三共のFY3/27第1四半期の売上高は¥574.7bn、営業利益は¥85.1bnとなり、Goldman Sachs予想の¥517.7bn、¥79.6bnをそれぞれ上回った。上振れは、抗がん剤Enhertuと抗凝固薬Lixianaを含む主力製品が牽引した。一方、在庫関連の評価損と戦略投資の増加によりコストも予想を上回ったため、利益の上振れは売上高ほど大きくなかった。 会社はFY3/27の売上高ガイダンスを¥2,280.0bnから¥2,340.0bnへ、営業利益ガイダンスを¥315.0bnから¥320.0bnへ引き上げた。コア営業利益ガイダンスは¥360.0bnで据え置かれた。この変更には、第1四半期の実績、2Q以降のUSD/JPY前提を¥150から¥155へ変更したこと、主力製品の好調、ならびに第1四半期に計上した評価損、戦略投資の増加、保証引当金の戻入を含むコスト前提の見直しが反映されている。新たな売上高目標はGoldman Sachsの従来予想¥2,360.9bnに近く、I/B/E/Sコンセンサスの¥2,318.5bnを上回る。営業利益ガイダンスはGoldman Sachsの従来予想¥339.0bnおよびコンセンサス¥358.7bnを6-11%下回る。ただしGoldman Sachsは、基礎的なベースでは従来予想との差は大きくないとみている。 Goldman Sachsは、決算とガイダンスを踏まえ、主力製品の売上前提を引き上げる一方でSG&A前提も引き上げた。その結果、FY3/27-FY3/31の営業利益予想を1-5%引き下げ、12カ月目標株価を¥4,300から¥4,250へ小幅に引き下げた。目標株価は、6%のWACCと0%の永久成長率を用いる12年DCFに基づき、いずれの前提も不変である。Goldman SachsはADCフランチャイズ拡大の長期的可能性を理由にBuyを維持している。期待形成のカタリストとして、HER2陽性乳がん一次治療におけるEnhertuのDESTINY-Breast09試験の全生存期間データ、Dato-DXdの開発進捗、Merckとの共同開発薬の進捗、ならびにDatrowayの非小細胞肺がん一次治療試験結果を挙げている。AVANZARは2H 2026、TROPION-Lung07およびTROPION-Lung08は1H 2027に予定されている。
分析フレームワーク
Goldman Sachsは、第1四半期の実績売上高・営業利益を自社予想およびコンセンサスと比較し、主力製品の好調さとコスト圧力を切り分けたうえで、修正された通期ガイダンスを従来予想と比較している。その後、売上高とSG&Aの前提を更新し、複数年の利益予想を修正し、12年DCFフレームワークで評価している。
手法メモ
12年DCFモデル
Goldman Sachsは、6%のWACCと0%の永久成長率を用いて長期キャッシュフローを現在価値に割り引き、¥4,250の目標株価を算出している。
資産マッピングと比較
投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。
- Daiichi Sankyo (4568.T)主要カバレッジ企業。EnhertuとLixianaの力強い売上、およびADCフランチャイズの長期的拡大がGoldman SachsのBuy評価を支える。
- 強み
- EnhertuとLixianaは1Qで予想を上回った。ADCフランチャイズには複数の今後の臨床カタリストがある。
- 弱み
- 在庫評価損と戦略投資を含むコスト増が、営業利益の上振れを限定した。
- 比較
- FY3/27の売上高ガイダンスはGoldman Sachsの従来予想に近い一方、営業利益ガイダンスはGoldman SachsおよびI/B/E/Sの予想を下回る。
- リスク
- 主要薬剤の売上未達、開発の中止・遅延、製品評価の変化、ADC関連のネガティブニュース、薬価や医療制度の変化を含むマクロ環境の影響。
主要データ
- FY3/27第1四半期売上高¥574.7bnGoldman Sachs予想の¥517.7bnを11%上回り、コンセンサスを25%上回った。
- FY3/27第1四半期営業利益¥85.1bnGoldman Sachs予想の¥79.6bnを7%上回り、コンセンサスを27%上回った。
- FY3/27売上高ガイダンス¥2,340.0bn¥2,280.0bnから引き上げ。Goldman Sachsの従来予想¥2,360.9bnに近い。
- FY3/27営業利益ガイダンス¥320.0bn¥315.0bnから引き上げたが、Goldman Sachsの従来予想¥339.0bnおよびコンセンサス¥358.7bnを下回る。
- 営業利益予想の修正-1% to -5%Goldman SachsはSG&A前提の引き上げを織り込み、FY3/27-FY3/31予想を引き下げた。
- 12カ月目標株価¥4,250¥4,300から引き下げ。6%のWACCと0%の永久成長率を用いる12年DCFに基づく。
影響と示唆
レポートは、EnhertuとLixianaの力強い売上がADCフランチャイズの長期的成長見通しを支えると論じている。コスト上昇は短期的な利益予想を抑えるものの、Goldman Sachsは修正ガイダンスが基礎的には予想とおおむね整合するとみて、Buyを維持している。
リスク
- 主要薬剤の売上が予想を下回る可能性。
- 薬剤開発プログラムが中止または遅延する可能性。
- 製品評価の変化やADCフランチャイズに関するネガティブニュースが投資判断を弱める可能性。
- 世界の薬価や医療制度の変化を含むマクロ環境、とりわけ米国の動向が業績に影響する可能性。
注目点
- Datrowayの非小細胞肺がん一次治療AVANZAR試験結果。2H 2026に予定。
- TROPION-Lung07およびTROPION-Lung08の結果。1H 2027に予定。
- HER2陽性乳がん一次治療におけるEnhertuのDESTINY-Breast09全生存期間データ。
- Dato-DXdおよびMerckとの共同開発薬の進捗。