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レポート解説Hilo Research

European semiconductors レポート解説

レポートは、半導体回復の裾野拡大と持続的なAI需要を見込む一方、DRAMサイクル後期への移行、データセンター建設リスク、バリュエーション格差を指摘する。SynopsysをOverweightへ引き上げ、InfineonをEqual-weightへ変更し、ASMLとBesiの目標株価を引き下げたが、両社のOverweightは維持した。

機関Morgan Stanley
日付20260908
業界European semiconductors

要約

レポートは、半導体回復の裾野拡大と持続的なAI需要を見込む一方、DRAMサイクル後期への移行、データセンター建設リスク、バリュエーション格差を指摘する。SynopsysをOverweightへ引き上げ、InfineonをEqual-weightへ変更し、ASMLとBesiの目標株価を引き下げたが、両社のOverweightは維持した。

ASML OW、€1,700;Besi OW、€220;Infineon EW、€65;Synopsys OW、$500
欧州半導体AI需要DRAMサイクルWFEEDA光インターコネクトデータセンターレーティング変更
  • カバレッジ銘柄は年初来約70%上昇したが、6月高値から約60%下落しており、セクターは変動が大きい一方で依然として保有比率が高い。
  • Morgan Stanleyは、DRAM価格が前年比600%超、3Qには約700%に達する可能性があることを踏まえ、メモリーサイクルが4Q26に後期局面へ移行すると見込む。
  • 同社はWFEを2026年$163bn、2027年$223bn、2028年$254bnと予想し、2027年の37%成長後、2028年の成長率は14%へ減速するとみる。
  • SynopsysはOverweightへ引き上げ、目標株価は$500。InfineonはEqual-weightへ変更、目標株価は€65。
  • ASMLはTop PickかつOverweightを維持するが、目標株価は€1,700へ引き下げ。BesiもOverweightを維持し、目標株価は€220へ引き下げ。

レポート解説

概要

Morgan Stanleyによる欧州半導体のレビューは、AI需要と広がりつつある循環的回復が引き続き支えになる一方、メモリーの勢いの成熟、データセンター投資リスクの上昇、バリュエーション格差の拡大を受け、投資家はより選別的になるべきだと論じる。レポートは半導体装置、アナログ/光学、EDA/IPにおける相対選好を組み替えている。

主要見解

レポートは半導体ファンダメンタルズに引き続き前向きである。予想を上回った1H26のSIAデータは、回復の裾野拡大、価格の強含み、需要改善、在庫補充、良好なブック・トゥ・ビルを示す。AIデータセンター投資とLLM導入がセンチメントを支え、SOXは年初来でS&P 500を50%超アウトパフォームした。Morgan Stanleyの欧州カバレッジは年初来88%上昇したが、セクターは変動が大きく、カバレッジ銘柄は6月高値からデレーティングし、SOXXの日次変動の標準偏差は1月から5月の2.5%から4.1%へ拡大した。同社は、一部EDAおよび半導体装置銘柄の下落と低いバリュエーションが機会を生むとみる一方、セクターは依然として保有比率が高いと強調する。 主な循環リスクはメモリーである。DRAM価格は前年比600%超上昇しており、3Q26には約700%に達する可能性がある。サイクルのピークは価格の前年比変化率で判断されるため、Morgan Stanleyはさらなる前年比加速には4Qで約70%の前四半期比上昇が必要とみる。そのためメモリーサイクルは4Q26に後期局面へ移ると予想している。これはメモリー感応度の高い装置銘柄のセンチメントを圧迫し得るが、Agentic AIを含む構造的AI追い風が緩衝材となる可能性がある。同社は2027年のWFEの強さは市場に広く理解されているとみており、DRAM能力、ロジック支出、NANDのグリーンフィールド投資を背景に、2026年$163bn、2027年$223bn、前年比37%成長を予測する。2028年のWFE予想$254bnは14%成長にとどまり、2028年に$300bnを超える可能性は高くないと考えるため、市場の論点は2028年の設備投資と需給へ移っている。 Morgan Stanleyは年末までに四つのセクターリスクを指摘する。第一に、系統接続の遅延と政治的反発によりデータセンターのGW建設が高い市場期待を下回る可能性がある。レポートは一部地域で5~7年の待機期間があること、2023年以来米国で300超のAIデータセンター建設モラトリアムが可決されたことを挙げる。第二に、長期米国債利回りの上昇と原油価格への再注目がリスク選好を圧迫し、NVIDIAのエコシステム投資への精査を強める可能性がある。第三に、投資家の焦点が月次ARRと収益性へ移る中、トークン価格低下と効率改善がLLMの魅力的な投下資本利益率を支えることを証明する必要がある。第四に、800Vネイティブのラックアーキテクチャの遅延は、400Vから800Vへの移行で搭載価値が高まる部品、特にGaNの需要を先送りする可能性がある。 半導体装置では、ASMLはMorgan StanleyのTop PickかつOverweightを維持する。同社はDRAMとロジック需要、製品主導の価格設定、イマージョン需要、能力のオプショナリティが中期的なマージン拡大を支えると引き続き考える。しかし、推定値は据え置いたまま、短期的なセンチメント上の重しを反映し、FY28 EPS €56.42に35xではなく30xを適用して目標株価を€1,930から€1,700へ引き下げた。重しには中国と輸出規制の不確実性、EUV能力、中国向けシステム販売、High-NAによるマージン希薄化の可能性がある。Morgan StanleyはEUV能力と輸出規制の懸念は過大と考え、経営陣が示した2026年の少なくとも60台のlow-NAシステム、2027年の85台、2028年の110台は上限ではなく下限を示す可能性があると指摘する。同社は中国がASML売上高のFY26、FY27ともに18%を占めると予測し、MATCH Actの実施可能性はFY26予想にリスクを与えないとみるが、成立すればFY27以降に影響し得る。 BesiはOverweightを維持するが、目標株価は€260から€220へ引き下げた。Morgan Stanleyは、広範なメモリーアーキテクチャがSRAM、シリアライズドHBM、peer HBM、LPDDR、CXLを組み合わせられるため、HBM向けハイブリッドボンディングの導入は従来想定より遅く、規模も小さくなると結論付ける。同社は2026-28年のハイブリッドボンディング装置出荷予想を65、140、230から65、115、190へ下方修正し、収益力を€4.33、€7.09、€7.93、変化率を+1%、-4%、-6%と予測する。2.5D用途向け主流ボンダーのより強いサイクルが、ハイブリッドボンディング見通しの下方修正を一部相殺する。修正後の目標株価はFY27利益に31xを適用し、従来の35xから引き下げたものだが、同社はリスクの多くが織り込まれ、主流需要とHBM以外での導入からのオプショナリティがあるとしてOverweightを維持する。 アナログおよび光学では、Morgan Stanleyはマージン改善を見込むが、そのペースが高い市場期待に届かない可能性を警戒する。InfineonとSTMicroelectronicsのIDM固有の立ち上げ・稼働率コスト、DresdenとCrollesのファブ立ち上げコストを、より緩やかなマージン回復の理由として挙げる。垂直電力供給は戦略的重要性を保つが、ADIとNavitasの参入により競争は激化している。Morgan StanleyはInfineonを重要なデータセンター電力の受益者と引き続きみるが、この機会はすでに理解され、短期触媒が限定的であるためEqual-weightへ変更した。FY27のデータセンター売上高予想€2.8bnを維持し、一部投資家が期待する€4bn-plusへのガイダンス引き上げは見込まず、FY27およびFY28のPSS売上高予想はそれぞれコンセンサスを18%、24%下回る。目標株価€65は従来の€81から引き下げ、サーバーラック事業に従来の45xではなく30x、その他事業に20xを適用する。 レポートは光インターコネクトとSoitecに引き続き前向きである。複数ラックのAIシステムでは、銅配線の実用性が低下する距離でラック間の直接光接続が必要となり、Soitecのシリコンフォトニクスウェハにより実現されるNPO/CPO構成を支える。Morgan Stanleyは、マルチラックトポロジーでのSoitecのGPU当たり売上高が、ラック間の直接接続を持たない標準的な72-GPUラック比で3倍になり得ると見積もる。導入率が複数年で段階的に30%へ上昇するだけでも、GPU当たり売上高は約50%増加し得る。フォトニクスのミックスをより前向きにみるため、FY27-29の売上高予想はコンセンサス比1%、5%、16%高く、FY28、FY29の粗利益予想はそれぞれ10%、36%高い。SoitecはTop Pick、Overweight、目標株価€200を維持する。 EDA/IPでは、Morgan StanleyはLLMによる破壊への懸念は過大と判断する。オープンソースEDAを使いLLMが45nm chipletを設計したという主張は、先端AIチップの2/3nmでの大量商業生産とは大きく異なると指摘する。同社はセンチメントが急速に回復するのではなく、収益のレジリエンスの証拠が必要とみる。一方、SynopsysとCadenceにとって、シミュレーションツールがsim-to-realのワークフローにおける熱、機械的応力、流体力学の課題に対応するため、Physical AIは過小評価された機会だと考える。SynopsysはEqual-weightからOverweightへ引き上げ、目標株価$500を維持した。Morgan StanleyはAnsys統合シナジー、Design IP回復、Physical AIの可能性への確信が高まっていることを理由に挙げる。同社はSynopsysにFY26 EPS $15.12の33xを適用し、現在の28x、Cadenceの37xと比較する。9月30日の投資家説明会での注目点はFactory 2 IP、Multiphysics Fusion、LLMリスク懸念に対する経営陣の回答である。 レポートはAgentic AIを受けて2030年のCPU総アドレス可能市場を$125bnへ引き上げ、強気ケースでは$283bnとする。Armにとっての主な論点は最終需要よりも、需要を供給裏付けのある売上高へ転換することだとみる。ArmはFY27-28で$2bn超のAGI CPU需要を見込む一方、確保済みの製造能力はFY28まで少なくとも$1bnの累計売上高を支える。Morgan Stanleyは、現在のバリュエーションが長期CPU機会の大部分をすでに織り込んでいるとして、ArmをEqual-weight、目標株価$212に維持する。

分析フレームワーク

Morgan Stanleyは、半導体サイクル指標、SIAデータ、DRAM価格、WFE予測、投資家ポジショニング、バリュエーション比較を、企業ごとの収益、能力、技術、競争分析と組み合わせる。その後、利益予想、P/E倍率、必要に応じてSOTP評価を用いて、レーティングと目標株価を調整する。

手法メモ

  • 業界・産業分析フレームワーク需給フレームワーク

    販売データ、在庫、価格、メモリー需給、WFE支出を用いた半導体サイクル分析。

    レポートは、価格、在庫補充、DRAMサイクルのタイミング、設備投資を、半導体装置および部品の予想需要へ結び付けている。

  • バリュエーション手法PER・PEG評価

    フォワードP/E評価。

    Morgan Stanleyは、ASMLのFY28 EPSに30x、SynopsysのFY26 EPSに33xを適用するなど、明示されたP/E倍率を予想EPSに適用して複数の目標株価を算出する。

  • バリュエーション手法SOTP(事業別合算)評価

    SOTP評価。

    レポートはInfineonのサーバーラック事業とその他事業に異なる倍率を適用し、選定銘柄では構造的事業と循環的事業も分けて評価している。

  • 業界・産業分析フレームワーク産業チェーンの上流・中流・下流波及

    AIデータセンターのアーキテクチャと半導体サプライチェーンの波及。

    分析は、ラックのスケールアップ、光接続、電力アーキテクチャ、メモリー構成、ファブ設備投資が半導体バリューチェーンの供給者に及ぼす影響を追っている。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • ASML Holding NV (ASML.AS)
    DRAMとロジック需要の受益者であるTop Pickの半導体装置銘柄
    強み
    EUVでの主導的地位、価格決定力、能力のオプショナリティ、中期的なマージン拡大余地。
    弱み
    中国、輸出規制、能力に関する疑問、High-NAマージン懸念が短期センチメントを抑制する。
    比較
    Morgan StanleyはASMLをASM、Besiとともに選好する半導体装置銘柄とみる。
    リスク
    輸出制限、中国売上高への圧力、WFE需要の弱化、EUV受注拡大の鈍化、High-NA導入の遅延。
  • BE Semiconductor Industries NV (BESI.AS)
    カバー対象の半導体パッケージング供給企業
    強み
    コアボンダー需要の改善と、HBM以外でのハイブリッドボンディング採用によるオプショナリティ。
    弱み
    HBMハイブリッドボンディング需要は、より遅く、より低い水準で現れると予想される。
    比較
    予想と目標株価の引き下げにもかかわらず、半導体装置内で選好される。
    リスク
    ハイブリッドボンディング採用の限定、コア事業の強さの後退、為替によるマージン圧力。
  • Infineon Technologies AG (IFXGn.DE)
    カバー対象のアナログおよびデータセンター電力供給企業
    強み
    Morgan StanleyはInfineonを、ラック全体のパワー半導体に幅広く関与する明確なデータセンター電力の受益者とみる。
    弱み
    期待値の短期的な上振れ余地は限定的で、短期触媒への確信も低い。
    比較
    レポートは欧州アナログ同業より強い構造的データセンターの位置付けをみるが、リスク・リワードはより均衡している。
    リスク
    800Vの遅延、VPD競争、自動車回復の弱さ、Module 4の製造効率化の遅延。
  • Synopsys Inc. (SNPS.O)
    レーティングを引き上げたEDA/IPカバー銘柄
    強み
    Ansysシナジー、Design IP回復、シミュレーション能力、Physical AIへのエクスポージャー。
    弱み
    LLM関連のEDA懸念と収益レジリエンスの証明必要性が、引き続きセンチメントの重しとなる。
    比較
    Morgan StanleyはCadenceに対するバリュエーション格差が広がり過ぎたとみる。
    リスク
    より深い半導体不況、輸出規制、新規EDA参入者、Ansysコストシナジー未達。
  • Soitec SA (SOIT.PA)
    光インターコネクトの受益者であるTop Pick
    強み
    フォトニクスSOI基板での主導的地位と、マルチラックAIシステムにおけるNPO/CPO光接続へのレバレッジ。
    弱み
    先進的ラックトポロジーの幅広い導入時期は不確実性が残る。
    比較
    Morgan Stanleyはフォトニクス主導の売上高および粗利益成長についてコンセンサスを上回る予想を置く。
    リスク
    光インターコネクト導入の鈍化とデータセンターアーキテクチャ移行の遅延。

主要データ

  • カバレッジ銘柄のパフォーマンスc.70% YTD; c.60% retreat from June peaksレポートは、年初来の大幅な上昇後に夏場の急激な下落があったと説明する。
  • DRAM価格>600% YoY; c.700% YoY in 3Q26Morgan Stanleyはメモリーサイクルが4Q26に後期局面へ移行すると見込む。
  • WFE予測$163bn in 2026; $223bn in 2027; $254bn in 20282027年の前年比37%成長、2028年の前年比14%成長を示す。
  • ASML目標株価€1,700€1,930から引き下げ、FY28 EPS €56.42に30xを適用。
  • Besiハイブリッドボンディング装置出荷65/115/190 in 2026e/2027e/2028eHBMハイブリッドボンディングの導入がより遅く、規模も小さいとの見通しから、65/140/230より引き下げ。
  • Infineonデータセンター売上高予測€2.8bn in FY27Morgan Stanleyは、一部投資家が期待する€4bn-plusへのガイダンス引き上げを見込まない。
  • Synopsysバリュエーション28x current-year P/E versus Cadence at 37x; $500 targetMorgan StanleyはFY26 EPS $15.12に33xを適用する。
  • Agentic AI CPU総アドレス可能市場$125bn by 2030; $283bn bull caseレポートはAgentic AIがCPU需要を拡大するとみる。

影響と示唆

Morgan Stanleyのセクター見通しは、広範な循環的ポジショニングではなく、AI関連の半導体装置、光インターコネクト、EDA/IPへの選別的なエクスポージャーを支持する。ファンダメンタルズの改善と低い相対バリュエーションを支援材料とみる一方、2028年のWFE成長、DRAM後期サイクルへの移行、データセンター建設、LLMの収益性、800V導入のタイミングが熱意の持続を左右すると考える。

リスク

  • 系統接続の遅延と政治的反発により、データセンターのGW建設が減速する可能性がある。
  • 長期金利と原油価格の上昇が半導体投資家の熱意を弱める可能性がある。
  • トークン価格の低下と効率改善は、LLMの魅力的な投下資本利益率を支えるには不十分となる可能性がある。
  • 800Vネイティブアーキテクチャの遅延は、GaNおよびその他影響を受けるパワー半導体の需要を先送りする可能性がある。
  • DRAMサイクルが4Q26に後期局面へ移行し、メモリー感応度の高い装置銘柄のセンチメントを圧迫する可能性がある。

注目点

  • DRAM価格、在庫補充、4Q26に予想される後期サイクル移行の証拠。
  • メモリーメーカー、ロジック供給企業、ハイパースケーラーによる2028年WFE見通し。
  • ASMLのEUV能力進展、Brainport Industries Campusの建設、中国売上高、輸出規制の展開。
  • AI Infra SummitとOCP Global Summitでのコメントを含む、800Vラック導入のタイムライン。
  • Synopsysの9月30日の投資家説明会、特にFactory 2 IP、Multiphysics Fusion、Ansysシナジーの更新。
  • Soitecのフォトニクス需要の可視性とNPO/CPO導入タイムライン。
  • Besiのハイブリッドボンディング受注、およびHBM、中国、ウェアラブルでの採用。
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