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レポート解説Hilo Research

Murata(6981) レポート解説

Citiは、AIサーバー向けMLCC需要、製品ミックスの改善、選択的なコスト転嫁が持続的な利益成長を支えると予想する。評価前提をより保守的にしたため目標株価は¥15,000から引き下げた一方、利益予想は上方修正した。

機関Citigroup
日付20260804
企業Murata
ティッカー6981.T
業界electronic components, MLCC
格付けBuy

要約

Citiは、AIサーバー向けMLCC需要、製品ミックスの改善、選択的なコスト転嫁が持続的な利益成長を支えると予想する。評価前提をより保守的にしたため目標株価は¥15,000から引き下げた一方、利益予想は上方修正した。

Buy、目標株価¥11,000.0(¥15,000.0から引き下げ)、現在株価¥7,161.0、期待総リターン54.6%
Murata6981.TBuyMLCCAIサーバー価格施策利益予想上方修正日本株
  • 目標株価は¥15,000から¥11,000へ引き下げたが、Buyを維持。
  • FY3/27~FY3/29の営業利益予想を¥460bn、¥660bn、¥810bnへ引き上げ。
  • AIサーバー向けMLCCの売上・利益は4月から6月に増加し、受注額/売上額比率は過去最高に到達。
  • Citiは材料コスト転嫁と特定販売代理店向け価格施策による上振れ余地を見込む。
  • レポートは期待株価リターン53.6%、期待総リターン54.6%を示す。

レポート解説

概要

本レポートはMurataに対するCitiのBuy継続を示す決算レビューである。評価リスクプレミアムの上昇で目標株価は引き下げたものの、AIサーバー向けMLCC需要、製品ミックス、選択的なコスト転嫁による中期的な利益成長に対して、直近の株価下落は割安な水準を生んだと論じている。

主要見解

CitiはMurataのBuyを維持する一方、目標株価を¥15,000から¥11,000へ引き下げた。この引き下げは、株主資本リスクプレミアムを3.0%から3.3%へ引き上げるなど、評価前提の見直しを反映したものであり、利益予想の悪化によるものではない。AIサーバー関連事業への期待が調整され、Murataの上方修正もおおむねコンセンサス並みだったため株価は下落を続けたとCitiは指摘する。それでも、特定の販売代理店向けのコスト転嫁と価格調整の可能性を新たなプラス材料とみている。短期的なカタリストは少ないとみるが、中期的な持続的利益成長に対して株価は割安だと判断している。 中核となる事業仮説は、MLCCの収益性改善である。AIサーバー向けMLCCの売上と利益は4月から6月に増加し、長納期品を含むものの、受注額/売上額比率は過去最高に達した。コストは上昇しているが、Citiは稼働率と製品ミックスの改善により利益率の拡大が続くと予想する。Murataは、エネルギー・材料コストの転嫁、競合他社が値上げした領域での対応、特定の販売代理店向け価格調整を検討しているようだ。これらは需給主導の値上げではないが、Citiは従来想定を上回る効果の可能性があるとみており、販売代理店向け売上の比率は同社推計で10%強である。 Citiは営業利益予想をFY3/27で¥460bn、FY3/28で¥660bn、FY3/29で¥810bnへ引き上げた。従来予想はそれぞれ¥440bn、¥630bn、¥800bnだった。これらは営業利益の前年比63.2%、43.5%、22.7%の成長を意味する。為替前提は¥160/$から¥155/$へ見直した。円高は利益の逆風であり、感応度は¥1/$の変動当たり年間¥4.5bnである。これを補う主な要因は、製品ミックス改善、材料コスト転嫁、販売代理店向け価格施策を背景とするドル建てMLCC ASP成長率の上方修正である。FY3/27は前年比8%強から10%強へ、FY3/28は約10%から15%強へ引き上げた。 修正後モデルでは、売上高はFY3/27からFY3/29にかけて¥2,058.9bn、¥2,320.7bn、¥2,530.3bn、調整後EBIT利益率は22.3%、28.4%、32.0%と予想している。受動部品が主な利益牽引役であり、Citiはセグメント売上高がFY3/26の¥1,159.7bnからFY3/29の¥1,794.0bnへ、事業利益が¥315.1bnから¥782.7bnへ拡大すると見込む。デバイス/モジュールの回復はより緩やかで、FY3/27にはセグメント売上高が3.0%減少した後に成長を再開すると予想しており、Citiはこれを利益への軽微な重しと位置付ける。 評価では、Citiはネットキャッシュを考慮するRoIC-WACCアプローチを用い、FY3/29を基準年、期待成長率を0%、リスクフリーレートを2.0%、最近のTOPIX益回りから導いた株主資本リスクプレミアムを3.3%と置いている。¥11,000の目標株価はFY3/29 PER約29xに相当し、Citiは持続的な利益成長局面では妥当と考える。8月3日時点の株価¥7,161に対し、Citiは期待株価リターン53.6%、予想配当利回り1.0%、期待総リターン54.6%を算出している。MLCCの受注額/売上額比率はピークアウトする可能性があり、Q1には値上げ前の前倒し需要と高価格帯スマートフォンの季節性変化による押し上げがあったと注意を促す。Q2発表時に比率が低下する可能性はあるものの、利益の増加とともに受注水準は高水準にとどまるとCitiは予想している。

分析フレームワーク

CitiはまずMLCCの需要、受注、価格環境を評価し、次に製品ミックス、ASP、為替前提の変化を複数年の利益予想へ反映している。調整後NOPATとネットキャッシュを織り込むRoIC-WACCフレームワークでMurataを評価し、強気・基本・弱気の条件に照らして投資判断を検証している。

手法メモ

  • 企業ファンダメンタルズ・財務フレームワークROIC-WACCスプレッド

    ネットキャッシュを織り込んだRoIC-WACC評価アプローチ

    CitiはFY3/29の予想調整後NOPATとネットキャッシュを用い、WACCで割り引いてMurataを評価している。この枠組みは、資本利益率と資本コストの関係を株主価値に結び付ける。

  • 業界・産業分析フレームワーク数量・価格分解

    MLCCの需要、ASP、製品ミックス、利益率の分析

    レポートは、受注需要、ドル建てMLCC ASP、稼働率、製品ミックス、価格施策に分けて、予想利益率と利益拡大を説明している。

資産マッピングと比較

投資テーゼから固有資産への構造化マッピング(強み、弱み、同業、リスク)。

  • Murata (6981.T)
    主要なカバー対象企業。AIサーバー向けMLCCの成長、製品ミックスの改善、選択的な価格施策の恩恵が期待される。
    強み
    高い収益性、拡大するAIサーバー向けMLCCの売上・利益、高い受注残指標、コスト転嫁の可能性。
    弱み
    デバイス/モジュールの回復遅延が利益をやや圧迫している。
    比較
    Citiは競合他社が値上げした領域に言及するが、具体的な同業他社比較は示していない。
    リスク
    MLCCの受注モメンタムがピークアウトする可能性がある。テクノロジー需要、在庫、為替、競争、スマートフォン需要、MLCC価格環境が悪化する可能性がある。

主要データ

  • 目標株価¥11,000.0¥15,000.0から引き下げたが、Buyを維持。
  • 現在株価¥7,161.003 Aug 2026 15:30時点。
  • 期待総リターン54.6%期待株価リターン53.6%と予想配当利回り1.0%から構成。
  • FY3/27営業利益予想¥460bn¥440bnから引き上げ、前年比+63.2%。
  • FY3/28営業利益予想¥660bn¥630bnから引き上げ、前年比+43.5%。
  • FY3/29営業利益予想¥810bn¥800bnから引き上げ、前年比+22.7%。
  • FY3/29バリュエーションc29x PERCitiの¥11,000目標株価が示唆する倍率。
  • 為替感応度¥4.5bn/year per ¥1/$ change円高は利益にマイナス。

影響と示唆

Citiの結論は、AIサーバー向けMLCC需要の拡大と選択的な価格施策により、より保守的な評価割引率の影響を上回る利益上振れが可能になるというものだ。レポートは、修正後の株価が予想される中期的な利益拡大を織り込んでいないとみている。

リスク

  • テクノロジー製品全般の需要が弱まる可能性。
  • サーバーおよび自動車サプライチェーンの在庫調整が需要を抑制する可能性。
  • 急激な為替変動、特に円高が利益を圧迫する可能性。
  • アジアの新規競合の台頭により競争が激化する可能性。
  • 高価格帯スマートフォンの成長および市場シェア動向が悪化する可能性。
  • MLCCの需給環境または値上げ見通しが変化する可能性。
  • 値上げ前の前倒し需要を受け、MLCCの受注額/売上額比率がピークアウトする可能性。

注目点

  • 過去最高となった受注額/売上額比率の後も、AIサーバー向けMLCCの売上、利益、受注が堅調に推移するか。
  • Q2決算発表時の受注額/売上額比率の低下有無。
  • エネルギー・材料コスト転嫁と特定販売代理店向け価格調整の進展。
  • 世界のスマートフォン需要回復のペースと高価格帯スマートフォンの季節性。
  • サーバーおよび自動車の在庫調整。
  • Citiの¥155/$の為替前提に対する円の動き。
浙江ICP第2022035445-5号
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