Global humanoid robotics and embodied AI レポート解説
Morgan Stanleyは、ロボット知能、データ収集、実世界での導入の進展が、漸進的なハードウェア改善より重要になっていると論じる。長期的な導入の急増を予測する一方、商業化の中心的な障害として生産的なタスク実行とデータを挙げている。
要約
Morgan Stanleyは、ロボット知能、データ収集、実世界での導入の進展が、漸進的なハードウェア改善より重要になっていると論じる。長期的な導入の急増を予測する一方、商業化の中心的な障害として生産的なタスク実行とデータを挙げている。
- 世界の人型ロボット出荷は1H26に19,000台となり、前年比272%増加。中国企業が97%を占めた。
- Morgan Stanleyは中国の出荷が2026eに50,000台、2030年までに446,000台に達すると見込む。
- レポートは、2050年までに約1 billion台の累計人型ロボット導入とUS$7.5 trillionの年間市場収入を推計する。
- モデル開発企業は、大規模な人間動画データと導入フィードバックループを通じて、ロボットに新タスクを教える限界費用の低下を目指している。
レポート解説
概要
この世界の人型ロボットに関するアップデートは、モラベックのパラドックスを通じて2026年のWorld Humanoid Robot Gamesと最近の業界動向を解釈している。移動能力は大きく改善したが、知覚、物理世界の推論、生産的なタスク実行が依然として決定的な課題である。Morgan Stanleyは、特に中国で商業化が広がっているとみており、データ、ロボット知能、導入フィードバックを進展の主要な決定要因と位置付ける。
主要見解
レポートは、業界が目を引く移動能力の実演から、人型ロボットが有用で変動のある複数手順のタスクを商業配備に足る効率で実行できるかという、より難しい問いへ移行していると論じる。2026年のWorld Humanoid Robot Gamesには666チームと2,056台のロボットが集まり、2025年の約280チームから増加した。Tiangongは100mを8.64秒で走り、2025年の21.5秒から改善したが、Morgan Stanleyがより重視するのは、工場、家庭、ホテル、小売、病院、緊急対応を横断する21の実世界シナリオ競技である。これらの試験では、音声指示の理解、食事の準備・配達、精密な操作などが求められ、関連シナリオでは完全自律実行に遠隔操作の2倍の配点が与えられた。レポートの結論は、身体能力は進歩した一方で、生産性、適応性、自律性が現在の商業化における重要な基準だというものである。 Morgan Stanleyは、ロボットの「脳」とデータが引き続き世界的なボトルネックだと位置付ける。DYNA-2、Skild AI S1、Generalist GEN-1.5などの最近のリリースは、少数の例や短いデモから新タスクへの適応コストを下げ、一部ではより長いタスク系列にも対応することを目指している。DYNA-2は主に100万時間超の人間の一人称動画で訓練され、人間動画の訓練量とロボット能力の間にスケーリング関係があると報告した。レポートは、データの収量、多様性、配備からのフィードバックが、モデルアーキテクチャそのものより持続的な優位性になり得ると強調する。企業はモデルパラメータ、計算能力、データ収集を拡大しており、複数の企業はすでに約千カード規模で運用し、2026年末または2027年までに100万時間の利用可能データを目標としている。Figureのデータ施策は投資規模を示しており、アプリのダウンロード数260,000、週次アクティブユーザー44,000超、動画1,600万本を報告し、クリエイターにUS$15 millionを支払い、今後12か月でデータと計算能力にUS$1 billion超を投じる計画である。 需要指標は改善しているものの、なお初期段階にある。世界の人型ロボット出荷は1H26に19,000台となり、1H25の5,000台から前年比272%増加し、中国企業が97%を占めた。中国の出荷の約65%は依然として娯楽、教育/R&D、データ収集向けだが、産業・商業用途は広がっている。形態別では半身サイズの二足歩行型が約50%で最大、車輪型が約29%を占め、商業・産業分野で急速に拡大している。Morgan Stanleyは、1H26のより多くの実証試験が2H26からより広い導入に転換すると見込み、中国の出荷を2026eに50,000台、2030eまでに446,000台と予測する。導入の勢いを示す例には、Ant Groupのロボットによる薬局の夜勤業務、製造業で少なくとも1,000台のHexagon AEONを展開する計画、Hyundaiの2028年以降のAtlas導入目標と年間30,000台の米国ロボット生産能力が含まれる。 政策支援も商業化の循環の一部であり、特に中国で重要である。レポートは、中国の2026年の取り組みが2026年末までに1万台規模の導入能力と100超の高価値アプリケーションを目標とし、地方政府と中央SOEが人型ロボット訓練の運用サイトを特定する見通しだと指摘する。また韓国、日本、米国、英国の政策動向も追跡している。同時に、物理AIがカメラ、LiDAR、力/トルクセンサーに依存することでデータセキュリティや監視の懸念が高まり、AI対応ロボットには明確なデュアルユースの国家安全保障上の特性があるとする。 長期市場規模について、Morgan Stanleyは世界の累計導入台数を2036年までに約28.1 million台、2040年までに138.5 million台、2044年までに約430 million台、2050年までに約1 billion台と推計する。2050年の推計には、商業用途約935.1 million台と家庭用途84.2 million台が含まれる。6年の買替サイクルを仮定し、世界の人型ロボット年間収入は2035年にUS$336 billion、2040年にUS$2.0 trillion、2050年にUS$7.5 trillionに達すると見積もる。このモデルは大幅なASP低下を想定しており、高所得市場のASPは2024年のUS$200,000から2050年には約US$75,000へ、低コスト市場では約US$50,000から約US$21,000へ低下する。したがって導入シナリオは、量産化、現地化されたサプライチェーン、ロボットが経済的に有用な実世界パフォーマンスを実現できるかに依存する。
分析フレームワーク
Morgan Stanleyは、2026年のWorld Humanoid Robot Gamesでの観察、出荷・導入指標、企業・モデル開発の更新、政策追跡、バリューチェーンのスクリーニング、ボトムアップの導入モデルを組み合わせている。実演から商業的に生産性のあるタスク実行への移行を検証し、地域別の導入前提、ASP低下、6年の買替サイクルを用いて長期需要を推計している。
手法メモ
導入前提、ASP推移、買替需要を用いた人型ロボットの導入・市場規模推計。
レポートは国の所得分類と最終市場ごとに導入台数を推計し、平均販売価格の低下と6年の買替サイクルを用いて需要を収入に換算している。
具身AIの訓練データに関するスケーリング法則の評価。
レポートはDYNA-2などの報告された証拠を用いて、人間動画データの増加がロボット能力を向上させ、新タスク適応コストを下げられるかを評価している。
主要データ
- 世界の人型ロボット出荷19,000 units in 1H261H25の5,000台から前年比272%増加。中国企業が97%を占めた。
- 中国の人型ロボット出荷予測50,000 units in 2026e; 446,000 units by 2030eMorgan Stanleyは、実証試験が2H26からより広い導入に移行すると見込む。
- 世界の人型ロボット累計導入~28.1 million by 2036; ~138.5 million by 2040; ~430 million by 2044; ~1 billion by 2050Morgan Stanleyの推計。
- 世界の人型ロボット年間市場収入US$336 billion by 2035; US$2.0 trillion by 2040; US$7.5 trillion by 20506年の買替サイクルを前提とする。
- Humanoid 100のパフォーマンス+47% since February 6, 2025追加・削除を調整した等ウェイト。引用データは2026年8月28日まで。
- China Humanoid Value Chainのパフォーマンス-1.3% MTD and -21.8% YTD2026年8月28日時点の等ウェイト。MSCI Chinaは月間-0.5%、年初来-9.1%。
影響と示唆
レポートは、人型ロボット産業の次の段階を、移動能力の競争ではなく商業化と知能化の課題として描く。企業とバリューチェーン参加者は、拡張可能なデータへのアクセス、モデル能力、導入フィードバック、産業での検証、量産によるコスト削減能力によって、ますます差別化されるとみている。
リスク
- 具身AIモデル開発では、データの可用性、多様性、品質が引き続きボトルネックである。
- ロボットは実世界のタスクを効率的かつ生産的に実行できることを証明する必要があり、多くの現場では導入台数がなお数十台にとどまる。
- 物理AIのセンサーとモデルは、そのデュアルユース特性により、データセキュリティ、監視、国家安全保障上の懸念を生じさせる可能性がある。
注目点
- 1H26の実証試験が2H26からより広い導入へ転換するか。
- 実世界の産業・商業タスクにおける生産的で自律的な実行の証拠。
- 100万時間の利用可能データ達成に向けた進捗と、導入フィードバックループの質。
- 中国による2026年末までの1万台規模の導入能力と100超の高価値アプリケーション目標の実施。
- モデル更新がロボットに新タスクを教える時間とコストを実質的に短縮できるか。